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グリッド状に張り巡らせた糸にポツポツとまとわりつく和紙。意思を持つようにうねる台形のフレーム。この不思議な形の衝立の作者、佐藤友佳理さんは、元モデルというユニークな経歴の持ち主です。
「イギリスでメイクの学校に通いながらモデルもしていました。ただ昔から絵が好きで、和紙の生産が盛んな愛媛県内子町で育ったこと、父親が愛媛県と新しい和紙の開発を始めたことなどが重なり、和紙のデザインに携わることに」
東京でデザインの基礎を学びながら地元愛媛に通い、開発に参加。和紙の原料である
もうひとつ作品に大きな影響を与えたのがデジタルファブリケーション※ 。もともと3Dプリンターに興味があった佐藤さんですが、後に夫となる寺田天志さんとの出会いが転機に。元カーモデラーでデジタルによる人形浄瑠璃の継承にも携わる寺田さんの協力もあり、冒頭の衝立「uneri」や照明「hineri」など独創的な作品が誕生。これらには、デジタルで設計した形を実現するための伝統的な建具の技も欠かせないと言います。「目指すのは、新旧の素材や技術を融合させた新しいものづくり。今後は和紙に限らずさまざまな素材の可能性を追求したいと思っています」。新たに夫婦でクラフトラボをスタートさせたそうで、次の作品も楽しみです。
※3DCGなどのデジタルデータをもとに、3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル工作機械を用いて素材を切り出し、ものを制作する技術
「呼吸する和紙」初の商品、「呼吸する和紙のモビール」。和紙をもっと今のインテリアになじむものにしたいとデザインされたものです。木の枠に均等に打った釘に規則的に糸をかけて幾何学柄を描き、
(左) (上)「呼吸する和紙」のスクリーンを用いた「L邸」(設計:隈研吾建築都市設計事務所)。木漏れ日のような柔らかい日差しが注ぎます。
(右) (下) デジタルファブリケーションを初めて取り入れた和紙照明「hineri」。デジタル技術の導入が伝統工芸に新たな可能性を見出すきっかけに。
「hineri」の後に発表した衝立「uneri」。デジタルファブリケーションを活用して波のうねりのような形を表現しました。素材としての和紙の美しさ、デジタル設計による微妙なカーブ、木枠を製作する建具職人の技、そのすべてが融合して生まれた新しい和紙工芸の姿です。パーツごとに製作しジョイントするため、サイズを変えたりバラバラにして搬送することも可能。
ファッションモデルとして活動後、桑沢デザイン研究所でグラフィックデザインを学ぶ。卒業後に愛媛にて和紙制作に着手し、2012年「りくう」設立。和紙製の雑貨や建具、照明などを制作するほか、店舗・宿泊施設等の和紙装飾なども行う。19年、和紙照明「hineri」がイタリアのA`Design Award 2019で銀賞を受賞、衝立「uneri」が金沢・世界工芸コンペティション入選をはたした。
https://www.requ.jp
La Finestra Vol.23より転載